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舟を編む

舟を編む・・・って?

そして帯の「辞書を編纂」という言葉に思わず膝を打ったものである。
ななななんて素晴らしい言語感覚。
なるほどなるほど。ああ、日本語って美しい比喩ができるんだな~。
言葉という海を渡る舟、を、編む。う、美しい・・・。

辞書の編纂という未知の世界を垣間見せてくれるだけでなく、
言葉の美しさ、言葉の持つ意味、ニュアンス、用法など
改めて辞書を引きたくなり、言葉について深く考えてしまう本作。
そして、自分達社会人にも共通の異動への戸惑いやら
人間関係やら新しい仕事を前に感じる壁を、個性溢れる登場人物の
目線で巧みに描いている。
三浦さんの登場人物の心理描写ってリアルだよなー。
本当に物凄くずばっと表現しているっす。
毎度毎度共感、且つ感動なのである。

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続き(ネタばれ)↓



そしてわたくしが一番好きな場面は、ようやく印刷までこぎつけた辞書の
最初のページが印刷工場であがってきた時の描写。
思わず泣いてしまった程、ぐっときた・・。
ほの温かい黄みがかった辞書の1頁。その頁には「あかり」という文字。
おおおおおお!

文字が、言葉が無ければ、世界は真っ暗闇と同じである。
言葉は、その暗闇の世界を照らす「あかり」なのだ・・・。
こんなおのれが奇跡の人にでもなったかの様に、その描写に打たれた瞬間でした。

言葉に打たれる瞬間というのは、生きていてそうそうあるものではない。
どうぞこの物語でそれを体験して欲しい。
などと、勝手に思ってしまったのであった。
by readytoflykiko | 2011-11-14 15:23 |
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