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ハーモニー

伊藤計劃さんの作品を読むのは2作目。
(メタルギアソリッドは半分読んでイメージが湧かず中断中)
「虐殺器官」を読んだ時のあの衝撃と不思議な感覚に再び晒された。

今の私にはあまりに近未来である”大災禍”(メタルギアソリッドの世界かな)
を経た、平和で誰もが誰かを気遣う、病気や痛みすらないユートピア。
福祉という名の真綿に包まれ、異端を嫌う社会。
その”調和”の臨界点に到達した時、人間は何を選択するのか・・・

虐殺器官もそうだったんだが、妙に今の世界とリンクしていて
フィクションなのにいずれこんな事が起きるのではないかと思える
変な臨場感を湛えているような物語。
実は虐殺器官にいたっては、湾岸戦争当時のことかと、途中まで
半ばノンフィクションと思って読んでいた・・。←どんだけ天然ですかと言われた・・

自己、とは一体何なのか。

今の世界、情報ばかり仕入れて、その情報で考えた気になっている、
なんてことが普通になっているような気がする。
情報はいくら集めても情報でしかない。
分析して、考えて、アウトプットするのは自己、なのに、情報を得たことで
満足している気がする・・こうやって飼い慣らされていくなんて嫌だ!

いくらデータを集めても実体はそこにないんだよ。
気が付け。もっと頑固で偏屈な自己を保て。

物語の不安と焦燥と諦観の中、そんなことを思いました。


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by readytoflykiko | 2010-11-28 19:18 |
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